2013年03月23日

FRPについて

FRPについて質問があったので、ちょっと詳しく…。
よくメッセージ等で質問があるのが、FRPの強さについてだ。
FRPは強いのかやFRPは本当は弱いですよ(実体験済み)等。
それらに答える前にまずはFRPについて話そう。
ちなみにメッセージを送ってくれた方には返信済み。
まずFRPとは Fiber Reinforced Plastics の略だ。
Fiber=繊維、Reinforced=強化された、Plastics=プラスチック
つまり何らかの繊維を使ってプラスチックを強化すれば全てFRPとなる。
ただ、一般的にFRPと言うとGFRPとなる。
これはガラス繊維をポリエステル樹脂で固めた物だ。


FRPについて

写真がFRPに使う物。
写真左からポリエステル樹脂、ガラスマット、ガラスクロス。
ポリエステル樹脂は硬化剤と混ぜる事によって硬化する。
硬化剤を混ぜたポリ樹脂をガラスマットやガラスクロスに染み込ませる事でFRPとなる。
FRPには色々な製法があるが、繊維に樹脂を染み込ませると言う事は共通だ。


ではFRPの強さについてだが、これは何にも言えない。
FRPは強いの?→バラバラです。
これは先ほども言った通り、FRPは繊維で強化されたプラスチックの事だ。
繊維の種類でも樹脂の種類でも違えば強さは異なる。
そして、強さとは何を指しているのかも分からないので答えようが無い。
単純な硬さである硬度(モース硬度)や引張強度や曲げ強度など色々ある。
そして、何より作り手の問題もある。
一般的なポリ樹脂を使ったGFRPでも作り手によって3倍以上の違いが出る。
これは本当は弱いですよと言われた質問の答えだが、その方はちょっと力を入れただけで割れたと言っていた。
製法を聞くと単純にガラスマットに樹脂を塗っただけだった。
間違っている訳では無いのだが、脱泡処理を行ってないのが問題だ。
気泡が入ったまま硬化すると強度(ここでは引張、曲げ強度を指す)が一気に下がる。
引っ張りにも曲げにも弱くなってしまうのだ。
気泡が強度を下げる一番の要因だ。
更にもう一つ…。
例えば同じガラスマット3枚を使ったとする。
脱泡も完璧に行ったとすれば出来た物は同じか?
答えはNO。
厚さが異なる場合がある。
これも強度を決める要因の一つ。
同じ枚数を使っても余計な樹脂が入り込んでいたら、体積に対しての強度は落ちる。
基本的に繊維が多い方が強度は高い。
例えば同じ厚さで作れば強度は上がるし、軽くて済む。
同じ強度なら薄く、軽く作れるのだ。
一般的なポリ樹脂とガラス繊維を使ったGFRP同士でも強度に違いが出るのは作り手の問題なのだ。
ちなみにFRPって鉄より強くてアルミより軽いんでしょと聞かれた事があるのだが、GFRPで言うと
鉄より強いんでしょ?→同じ重量ならね(弾性率なら同体積でもFRPが上)。
アルミより軽いんでしょ?→同じ体積ならね。
と言う感じだ。
同じ体積で言えるのはカーボンとかだったりする。

そして、そのカーボンも偏見があったりする。
カーボンは軽くて硬いと言われているが、実際に使ってみたらそんな事はなかったと言う人が多い。
それは事実だ。
そもそもカーボンはウェットカーボンとドライカーボンで性質がまるで違う。
ウェットカーボンはGFRPと同じようにカーボン繊維に樹脂(一般的にエポキシ)を塗り込んだだけの物。
FRPに比べて重量は軽くなるし、強度も上がるが劇的に改善される訳では無い。
むしろガラス繊維に比べて高価だし、薄い場合も多いので費用対効果は薄い。
一方ドライカーボンだが、製法が全く異なる。
あらかじめ熱硬化樹脂が塗られているカーボンを型に入れて整形、硬化させるのだが真空脱泡、高温高圧で硬化される。
こうする事によって謳い文句にある様なカーボンが出来上がるのだ。
出来上がったカーボンは金属の様な音がする。
素晴らしい性能だが、製造コストが高い事もあり製品は高額な物となる。
ちなみに良心的なお値段のカーボンはウェットばかりだが、中にはカーボン粉末を色付け程度に混ぜただけでカーボン製と名乗っている物もある。
まぁ間違ってはいないけどね…。
G(ガラス)FRPにC(カーボン)FRPを一枚乗せただけの、見た目だけカーボン仕様な商品も多い。
こんな事もありカーボンに対する偏見が多かったりする訳だ。
実際は持っただけで分かる位違うんだけどね。
ちなみにドライカーボンも悪い所もある。
値段が高いのは言ったが、紫外線で劣化する、破壊される程の負荷を受けた場合変形せずに割れる点だ。
紫外線の劣化は塗料で防げるが、99%以上カットと言われていても劣化はする様だ。
そしてカーボン最大の欠点、鉄などは負荷がかかりすぎるとグニャッと曲がったりするが、カーボンは兆候無しに一気に割れる。
兆候が無い分危険度が増すという点だ。

長くなったがこんな所かな?
まとめるとFRPの強さは繊維や樹脂、製法によって大きく異なるので、ハッキリとこの強さとは言え無い。
うん、これだけ長文にしたのにまとめると、この短さ(笑)。
忘れてたが、繊維以外にも樹脂に混ぜる事で強度を上げる物もあるよ。
それと樹脂を粘りのある物にすればモース硬度が下がる分弾性率が上がったりもする。


さて、今日は引っ越しの準備をしている。
時間が無いので、昨日書いて日付指定で投稿してみる。
楽したいじゃん?




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Posted by A・R  at 12:00 │Comments(1)

この記事へのコメント
こんにちわ~♪

カーボンにもピッチ系とパン系が有りまして、互いに特性が全く異なり配合比率で目的の強度やしなやかさを出してます♪。

それとカーボンは、引っ張り強度が大きいので製作する構造を考えてライン巻きしないと強度が出ないんです。なのでゴルフクラブ等アルミ等のコアと複合させて強度出しが基本ですね。

FRP自体も同じでコアの使い方次第ですね。
Posted by 播磨の、信太郎播磨の、信太郎 at 2013年03月23日 12:30
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